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  • 江上天主堂(五島)

    江上天主堂
    江上天主堂

    奈留島にある江上集落のキリシタンは、江戸時代に外海地方から移住してきた4家族が始まりとされる。在来の集落から離れた海に近い谷間に集落をつくり、開墾で得た農地と漁業で生計を立てながら、密かに信仰を受け継いできた。江上天主堂が生まれたのは、大正7年、その当時、教会建築の第一人者といわれた鉄川与助氏の設計・施工で建てられた。もうじき献堂100周年を迎える。平成30年に世界遺産登録を目指す、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つでもある。
     この教会は、風除けのため森の中に建っており、川が近く裏側には常に水が流れている。そのため、湿気を防ぐための工夫が各所に設けられた。高床で、庇には花十字と呼ばれる飾り穴がいくつも開けられ、通気孔の役割を果たしている。床を支える柱の部分は、中の水分が蒸発しやすいようにペンキを塗っていない。基礎の敷石には、雨水を流れやすくするための溝が切られている。また、内部は、優美な「リブ・ヴォールト天井(こうもり天井)」。柱や梁は木目塗と呼ばれる手法で、すべて人の手で描かれている。白い漆喰の壁とのコントラストが美しい教会である。

    profile
    矢口 美保子 五島市在住。趣味は、茶道と読書。「軽自動車のマニュアル車に乗っています」と言うと、ほとんどの人が驚くという。高校時代の剣道仲間からの突然の電話により、島のコラムを書くことに。これには、本人が一番驚いているのだとか。

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