ながさきプレスWEBマガジン

  • Vol.09 senのやきものたち

     やきもの」といって思い浮かべるものは何だろう。お茶碗?湯のみ?お皿?きっとほとんどの人は、こうした「実用的な製品」を思い浮かべるだろう。

     ところが〈やきもの工房・京千〉から生まれたブランド〈sen〉のやきものたちはといえば…ご覧の通り。カワイイ、の一筋縄ではいかない、シュールな表情をたたえたネコやフクロウのオブジェ。レース模様があしらわれた花器や皿のシリーズ〈Doily〉。そしてここには写っていないが、ボタンやブローチ、洒落の利いたユニークな箸置きなどの商品もある。デザインを手がけるのは、長岡千陽さんだ。

     長岡さんも以前は、陶磁器といえば食器などを作らなくてはならないものと思っていたそう。ところが学生時代に出会った磁器のオブジェに衝撃を受け、以来自身も、素材や表現としての「陶」に向き合い、作品制作を続けてきた。だからこそだろう。一点ものの「アート」でもなく、無機質な大量生産の「プロダクト」でもない。その真ん中あたりでのびやかに、毎日を少し楽しいものへ変えてくれそうな、〈sen〉のやきものたちが生まれているのだ。

     そんな独創的なものづくりには、長岡さんのご両親が営んできた〈京千〉の存在も欠かせない。型作り、生地作り、窯焼きなど、各工程を分業で行う波佐見焼では珍しく、〈京千〉では全ての工程を一環して行うため、あれこれと手を動かしながらアイデアを形にしやすいのだという。古くからある波佐見焼の技術も欠かせず、実験的な作品や偶然から生まれた作品も少なくないそう。愉快な〈sen〉のやきものたちからは、ものづくりをする長岡さん自身のワクワクやどきどきまで伝わってくるようだ。

    つくり手:長岡千陽 NAGAOKA CHIYO
    長崎県波佐見町出身。愛知県の大学で陶による作品づくりを始め、帰郷後は〈京千〉に身を置く。2010年、〈西海陶器・essence〉とのコラボ企画で発表した〈Doily〉シリーズをきっかけに、陶器ブランド〈sen〉をスタート。県内外のイベントなどにも出展している。

    やきもの工房・ギャラリー 京千
    東彼杵郡波佐見町小樽郷550 TEL:0956-85-6911 http://www.kyosen-nagasaki.jp/
    sen
    商品の詳細は http://sentosen.net/

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