ながさきプレスWEBマガジン

  • 宇久島の赤と青(宇久)

    手つかずの自然が育む珍しい植物

    すっかり島の一面は緑色になり、植物の勢いが日に日に増してきている季節ですが、宇久島には一年の中で特徴的なある「花」が咲きます。
    夏に咲く青、「ヒゴタイ」。見た目は華やかとは程遠いけど、丸々してかわいらしい、ゴルフボール大くらいのアザミに似た植物です。海岸線に咲くことは全国的にも極めて珍しいのですが、五島列島北部の宇久島に咲いていることで、中国大陸と日本が太古に陸続きであったことを示す、学術的にも大変貴重な植物。宇久島では群生している場所を整備し、「ヒゴタイの里」として大切に保護しています。
    続いて秋に咲く赤、日本国内では一時絶滅したと言われていた植物、「ムジナノカミソリ」。ヒガンバナの仲間で、見た目もよく似ています。辺り一面緑色の草むらからひょっこりのぞく赤い花は繊細な美しさ。昨年本格的に調査され、ムジナノカミソリの「仲間」の可能性が出てきており、新種かもしれないことが大学研究機関などから報告されました。今後の研究結果が期待されます。
    ともに咲いている場所は西海国立公園に指定され、手つかずの自然が、珍しい植物を今でも育んでいます。ほかにも新たな植物が発見されるかもしれない、大自然の魅力が詰まった宇久島。ご来島の際にはぜひ足元にも目を向けてみてくださいね。

    profile

    檜垣 督  宇久町観光協会職員。大阪出身の元熱帯魚販売店員で、海の青さに魅せられて2014年春に宇久島へ移住。観賞魚を飼育していたという前職の経験を活かし、自然の観光資源を日々探している。趣味は釣りやカメラ、バンド活動。

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