ながさきプレスWEBマガジン

  • 弥生(やよい)

    教えてくれた人

    早稲田 佳子(ワセダ ヨシコ)さん
    茶道(表千家茶道)や料理(懐石料理)などを学べる〈花滴庵〉主宰。長崎県内で和の文化を伝える教室を開いているほか、季節の茶会などを行っている。
    花滴庵(かてきあん)
    道教室(表千家流)や料理教室(懐石料理)、挨拶の仕方などを学べる和の講座があり、和の文化を通して、美しい作法や暮らしに使える知識を習得できる。

    ひな祭りの由来や、ひな人形の飾り方、しまい方を教えてください

     ひな祭りは中国の古い習慣で、女の子の厄や、けがれを除くため、人の形代(かたしろ)を川や海に流すお払いの儀式から始まりました。厄除けの人形は江戸時代から豪華な段飾りとなり、各大名家や商家を中心に、ひな祭りが女の子の行事として定着しました。
     おひな様の飾り方は江戸風と京風で、女雛・男雛の座り位置が違いますが、現在は一般的に右に女雛、左に男雛を並べます。しまう際は、人形の顔や着物に手油をつけないよう手を綺麗に洗い、傷つけないように小さなハタキで埃を払います。人形の顔は柔らかい和紙で包みましょう。飾りや、小物が多い時には各々がバラバラにならないように気をつけて。最後は和装用の防虫剤を入れて、来年まで箱の中で休んでもらいます。おひな様は立春から二月中旬に飾り、桃の節句が終わるとすぐに片付けます。

    祝い膳(菱もち、ひなあられ、桃花酒)の意味合いや、いただき方を教えてください

     祝い膳は春の食材を使った料理を、神様にお供えしたものです。三段重ねの菱餅は、上段の桃色が桃の花、中段の白色が雪、下段の緑色が雪の中から萌え出ようとする若草を表しています。ひなあられはお正月の飾りの鏡餅や、紅白の餅花を油で揚げたもので、子どもたちの滋養になるお菓子です。 桃花酒(とうかしゅ)は刻んだ桃の花びらや蕾を焼酎に漬け込んだもので、桃の実が百薬長寿の仙菓といわれた事から女の子の無事成長を願う飲み物になりました。桃の節句(三月三日)の時に、祝い膳をいただきます。

    3/14は「ホワイトデー」。女性に贈ると喜ばれるプレゼントを教えてください

    私好みですが、いい香りをバッグの中にしのばせられる小さなお香袋はいかがでしょうか。それから木綿の手拭いもおすすめ。ハンカチや、ひざ掛けに利用でき、寒い時は首に巻けばおしゃれです。お菓子でお返しを考えるなら、高級なホワイトチョコを1個。ひとつで充分インパクトがあります。

    お彼岸について、またお彼岸の時に行う正しいお墓参りの作法について教えてください

    お彼岸…昼と夜の長さが同じになる日(春分の日・秋分の日)を挟んだ前後三日の計七日間

     お彼岸は初日が彼岸の入り、春分の日(三月二十日)が中日、そして最後の日が彼岸明けと言います。お寺の春と秋の大きな仏事で、先祖供養を行います。お彼岸の時は、お寺で法要ができたり、法話を聞くことができます。お墓は掃除して、お花を供え、御線香を焚いてください。仏壇にはぼた餅や彼岸団子、お饅頭などをお供えします。

    お彼岸の時にお供えするぼた餅の作り方を教えてください

     (1)小豆で餡を作ります。一晩小豆を水につけ、充分水を含ませてから炊きます。柔らかく煮えたらざるか布に上げます。
     (2) (1)の小豆に砂糖を加えゆっくりしゃもじなどで練り上げてください。
     (3)もち米は一晩水につけて蒸してください。蒸しあがって柔らかくなったら、すり鉢に移してすりこぎで叩き、布巾で縛ったりして、米粒の残ったお餅を作ります。
     (4)手水をつけて、(3)のお餅を適当な大きさに丸め、それに餡をからめて形を作ります。
     春はぼた餅、秋はお萩(はぎ)と呼び、ぼた餅は牡丹の花にちなんで名づけられました。餡は缶詰や冷凍の餡も市販されているので、そちらを利用すると簡単に作れます

    春はお花見の季節。お花見をする時に気をつけたいマナーを教えてください

     お花見は田の神様に農耕の豊作を願う祭事から始まり、神様にお供えしたお酒や食べ物をいただいて感謝する酒宴になりました。今では場所取り合戦が始まるほど賑やかな宴会となり、カラオケ、焼肉などを行う団体も多い状況になっています。様々な臭いが漂い迷惑する人も多いと思いますので、時には本来の意味を思い、桜を見て自然の美しさを楽しむ酒宴にしましょう。

    春はお花見の季節。いつもとは違うお花見を楽しむためのアイデアを教えてください

     お花見を楽しむために、自分の桜の木を決めてお花見を楽しんでみませんか?桜の木も花の色や、大きさ、花付きなどそれぞれに違いがあります。公園や道路の桜でも、「この桜は私の桜」と思って、1本を大事に見てみてください。お花見の時だけでなく、若葉から、鮮やかに散っていく晩秋まで、一年を通し桜と一緒に過ごすと、お花見がより豊かで楽しいものになると思います。

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