ながさきプレスWEBマガジン

  • Vol.13 古賀人形

    宮城の堤人形、京都の伏見人形と並び、日本三大土人形の一つに数えられる、長崎の「古賀人形」。赤、青、黄、緑といった原色の鮮やかな色使い。いい意味でちょっぴり気の抜けた、愛嬌のある表情。そして「阿茶さん」や「オランダさん」、「西洋婦人」など、長崎の歴史を物語る異国情緒豊かなモチーフ…そんな特徴を持つ、郷土人形だ。

     古賀人形の歴史は、16世紀頃までさかのぼる。日本を漫遊していた京都の土器師が、小川家に滞在し、土器の製法を伝えたとされ、文禄元年(1592年)頃、現在の古賀人形の祖となる小型の人形が作られ始めた。当初のモチーフは動物が主。その後節句人形などが生まれ、時代が下り、長崎ならではの異国のモチーフも加わった。人形の種類は、何と約90種。手のひらに乗るほどの小さなものから、型だけで10キロもする大物まで、昔から同じ型を使い、一つひとつ手作業で作られてきた。人形の前と後ろ、二つに分かれた型に粘土を詰め、合体。型から取り出し、形を整え、乾燥。約800度の窯で素焼きした後、白く地染めし、目を入れ、彩色してゆく。この全ての工程を、現在は19代目の憲一さんが全て一人で行っている。そのため量産はできないが、数ヶ月待ってでも手に入れたいという人は少なくない。

     「伝統うんぬんというより、家業やけん継いどるだけさ」とまるで気負いは無く、「もうきつかとよ~」なんて、冗談まじりに笑う憲一さん。だが、「目入れだけは相当、練習したね。上手くいかんと、好かんとさ」と語る姿は、やはり職人。この道30年の迷いの無い手付きで、丁寧に人形を仕上げる姿が格好良い。ぜひ作業場を見学しながら、「気の合う」お気に入りの一体を見つけたい。

    つくり手:小川憲一 OGAWA KENICHI
    古賀人形19代目窯元。子どもの頃から人形作りの手伝いをしたり、先代の仕事を見て育つ。

    古賀人形
    長崎市中里町1533 TEL:095-838-3869
    ※9:00~18:00頃作業をしており、随時見学可能。(事前に連絡を) 土・日・祝日は休みの場合あり
    珍しい人形も多いので、ぜひ作業場で全種類の一覧を見ながら注文するのがオススメ!現在納期は約半年程。長崎市中通り商店街内にある民芸品店〈想い出〉や、長崎駅前の〈長崎県物産館〉でも取り扱いあり

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