ながさきプレス

第25回 「長崎の中のカナダに行きたり…!?」

ご夫婦 ウワサの地へ、いざ!

 〝長崎の中のカナダ〟…思わず「まさかぁ~」と疑いそうなその場所を知ったのは、とあるブログがきっかけだった。ブログの主は、〝まるでカナダのような風景に感動〟し、何と移住までしてしまったという…! その名も小林哲朗さん。インディジョーンズばりの中折れ帽がトレードマークで、オーバーオールやチェックのシャツがよく似合う。その出で立ちで山を歩き、薪を割り、カヌーに乗ったかと思えば、ステンドグラスからツリーハウスまで作ってしまうのだから…いやはや、ただならぬロマンとカッコ良さを感じずにはいられない。ブログで発信される風景や活動の写真を見るたびに、「長崎の中のカナダ」への期待感はつのるばかり…。アウトドアを楽しむにはぴったりの春の訪れと共に、ついに!小林さんを訪ねる旅に出た。(しかし、誰かを訪ねる旅というのも、いいものですネ。「ラーメンを食べに博多へ」なんていう、ちょっとオフザケの入った気まぐれ&突飛な旅こそ、オトナの最高の遊びかも?)

ブログの言葉に偽りなし 確かにそこに、カナダがあった

 東彼杵町の、標高360mの山間台地にある蕪(かぶら)地区。「蕪池」という池周辺が、ウワサの「カナダスポット」だ。しかし、ナビでも検出できない場所で(これがまた、かえってワクワク感をあおる。 簡単にたどり着ける「カナダ」では、味気ないですからネ…)、小林さんとは大村にある「おおむら夢ファームシュシュ」で待ち合わせ。現れた小林さんは、ブログ通りのダンディさ(笑)で、案内してくださった。シュシュから広域農道「大村湾グリーンロード」経由で車を走らせること、約20分。どんどん深くなる山を抜けると、ついに眼前に蕪池が!!池の周囲にはぽつんぽつんと数軒の家が建つばかりで、あとは山。山。山。池には山並みと杉林が反射し、まさに、海外のアウトドア雑誌で見かけるような、「THE★カナダ」の風景が広がっていた。

おいしい空気を吸いながら 蕪池周辺を散策

 実はこの蕪池、自然の湖ではなく、農業用の灌漑(かんがい)用水を貯水するために作られた人工池だ。池を整備したのは、深沢義太夫(ぎだゆう)という大村藩ゆかりの偉人。義太夫には初代・勝清と二代・勝幸の二人がおり、いずれも江戸時代初頭、捕鯨により莫大な富を得ながらも私利私欲に走らず、富を人々のために使ったという。その一つが灌漑事業で、大村市の「野岳湖」や、蕪池を含む東彼杵町千綿高原の四ツ池も、義太夫による偉業だ。蕪池のそばにも、深沢義太夫を讃える石碑が立っていた。
散策  そんな蕪池の歴史も話しつつ、小林さんご夫婦&二匹のワンちゃんと共に、池の周辺を散策。なんと池周辺の遊歩道や案内板も、小林さんが移住してきてから、地元の人々と一緒に整備したそうだ。田舎暮らしに憧れ、住む場所を探す中で出会った蕪地区。移住を決めてから最初の一年は、長崎市内から毎週末通って家を建てたり、土地を整備したり。移住一年目にもみじの木を、二年目に桜を、それぞれ約100本ずつ、池の周辺に植樹。三年目には真砂土と呼ばれる土をまき、遊歩道を整備した。「次は子どもたちが遊べるアスレチックを作って、もう一棟ツリーハウスも建てたいなあ」と、小林さんの夢は広がるばかりだ。
 池の周囲は、約1.3km。散策の途中には小林さんお手製のツリーハウス(宿泊可能!)や、シイタケ栽培ゾーン(シイタケオーナーを集って、みんなで原木にシイタケの菌を打ったのだとか。オーナーは蕪池に遊びにきつつ、シイタケ狩りを楽しめるというワケ)もあり、大人でもワクワク、童心がよみがえるよう。春の花を観察したり、鳥のさえずりを聴いたり、自然を楽しみながら歩けばあっという間に一周。カナダ・イン・ナガサキの、ショートトリップを満喫だ。

散策のあとは、 ステンドグラスづくり

 散策を終え、小林邸でひと休み。薪の暖炉が据えられたリビングは何とも雰囲気良く、小林さんお手製のステンドグラスのランプから、やさしい明かりが注ぐ。ステンドグラスはかれこれ30年程前、当時長崎市内で建てていた家を飾るために作り始めたそうで、今やその腕はプロ級。依頼を受けて家や店舗のステンドグラスを手がけることもあるそうだ。というわけで、小林邸の横にはステンドグラス専用の工房も構えており、ステンドグラスづくりを体験することもできる。もはやこの蕪池周辺は、小林さんの「何でもつくる」DIY精神と、「人を楽しませたい」というもてなし精神が相まって、レジャー施設にも負けないほど(笑)。手づくりの手鏡が、素敵な旅のおみやげとなった。
 きっと今日も、インディジョーンズハットを被り、自然の中であれこれ楽しいアイデアを膨らませている小林さん。そんな小林さんが惚れこんだ自然に会いに、この春、蕪池を訪れてみてはいかが。

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