ながさきプレスWEBマガジン

  • 「膠原病」ってどんな病気ですか?

    今月のお悩みは…
    関節が痛むので病院を受診したら「膠原病の疑いがある」と言われました。「膠原病」ってどんな病気ですか?

    <回答者>
    みやしたリウマチ・内科クリニック 宮下 賜一郎先生
    1997年長崎大学医学部卒業。長崎大学病院、長崎医療センター等を経て2013年大村市にクリニックを開設。月に1,000人以上のリウマチ膠原病患者の診療にあたる。モットーは、「人を指導するにはまず自分から」。日々健康的な食生活とともにトレーニングも積極的に行う。今年は健康美を競うベストボディジャパン長崎大会で3位入賞を果たした。

    普段あまり聞き慣れない病名ですが、珍しい病気なんですか?

    宮下 いえ、実はすごく身近な病気なんです。そもそも膠原病とは、自己免疫反応が働いて起こる病気の総称です。通常は病原体が体に侵入したら、それを防御する目的で免疫が働きますよね。それが何らかの理由で、外からの外敵ではなく、自分自身を攻撃してしまうんです。その結果、呼吸器や腎臓、関節など、全身のいろんな部分が痛くなる。そうした症状の病気をまとめて「膠原病」と呼んでいるんです。リウマチは膠原病の中でも有名かもしれません。

    症状もさまざまなんですね。どんな方がなりやすい病気なのか、傾向があれば教えてください。

    宮下 主に女性のほうがなりやすく、年齢は10代~70代以上まで幅広いのが特徴です。また、一度発症すると、10年以上にわたって長期で治療が必要となる場合がほとんど。ただ、痛みや不自由さに悩まされるのは大体半年くらいで、きちんと投薬治療と経過観察をしていれば、目立った症状はあまり見られないケースも多いんです。難病指定の医療費補助を活用すれば、経済的な負担も抑えられます。

    でも、治療に時間がかかるのは大変ですね。原因と予防法はあるんですか?

    宮下 実は、はっきりとした原因は不明なんです。予防としても必ず効果があると証明されているものはなく、とにかく大切なのは早期発見・早期治療です。膠原病の疑いのある症状は、関節の痛み、倦怠感、手の先が真っ白になる、不可解な体重の減少などです。ただこれらは風邪や更年期の症状とも似ていることから、膠原病としての特定が遅れて痛みや症状が長引く場合もあります。何週間も調子が良くならない、薬があまり効かない場合は、膠原病の専門医に一度診てもらうのをおすすめします。治療が早ければ早いほど、より症状が軽い段階で緩和できますので。

    まず専門医を受診して、じっくり治していくことが重要なんですね。膠原病の治療で大切なことはなんですか?

    宮下 やはり一人ひとりの症状と生活に合わせた治療です。私は病気のために仕事を失う、そういう事態をまず避けられるように患者さんと向き合っています。リウマチで関節が痛くても、大体2~3ヶ月くらい我慢すれば薬が効いて、半年くらいでほとんど落ち着く。そこまでがんばりましょうと励ましながら、患者さんとのコミュニケーションを重視していますね。治療が長期にわたれば、その人のライフサイクルにも深く関わってきます。仕事や生活環境の変化に合わせて定期的に経過を観察しながら、私たち医師と患者さんが一緒になってがんばっていく。そうした連携が大切だと思います。

    まとめ
    ・体の免疫反応で痛みや障害が起こる病気を総称して「膠原病」と呼ぶ
    ・治療に時間はかかるが、きちんと投薬治療と経過観察をすれば、ほとんど症状は抑えられる
    ・とにかく早期発見・早期治療が大切!調子が良くならず気になる方は、専門医に診てもらおう

    宮下先生からのワンポイントアドバイス
    膠原病は免疫反応によって起こる病気ですので、年齢が若いほどはっきり症状が起こる傾向があります。逆に年を重ねるほど症状は緩和されていくので、早めに治療すればそれだけ楽になります。また医療技術の進歩もあり、今では薬でほとんどの症状を抑えることができるようになっています。まずは気軽にご相談ください。

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