ながさきプレスWEBマガジン

  • 卯月(うづき)

    教えてくれた人

    早稲田 佳子(ワセダ ヨシコ)さん
    茶道(表千家茶道)や料理(懐石料理)などを学べる〈花滴庵〉主宰。長崎県内で和の文化を伝える教室を開いているほか、季節の茶会などを行っている。
    花滴庵(かてきあん)
    道教室(表千家流)や料理教室(懐石料理)、挨拶の仕方などを学べる和の講座があり、和の文化を通して、美しい作法や暮らしに使える知識を習得できる。

    4月は入学式、入社式などが行われるシーズン。新たなスタートを切る人へ贈るお祝いは、どのようなものが喜ばれますか?

    お祝いを贈る相手が学生ならカラーペンなどの文房具用品、社会人ならハンカチや口紅、オーデコロンなどはいかがでしょう。一番無難なのは、のし袋にお金を包みお渡しする方法。お祝いをいただいた人が好みのものを購入できます。心のこもったメッセージも添えるといいですね。

    四月八日に行われる「花まつり」の由来や習わしなどを教えてください

    花まつり…仏教の開祖・釈迦(しゃか)の生誕を祝う仏教行事で、御釈迦様に甘茶をかけお祝いする

    「花まつり」と呼ばれる四月八日は、御釈迦様の降誕祭です。灌仏会(かんぶつえ) や仏生会(ぶっしょうえ) と言われ、平安時代から始まった歴史があり、御釈迦様に花を飾ってお祝いをしていました。御釈迦様に甘茶をそそぐ儀式の由来は、生まれたばかりの御釈迦様に、天から九匹の龍が舞い下りて産湯(うぶゆ)の水をかけたことが始まりだそうです。長崎市内でも釈迦の誕生を祝い、浜市アーケード内や築町などで甘茶のおもてなしを行っており、道すがら楽しめます。

    長崎市内では「ハタ揚げ」が行われますが、ハタの歴史や遊び方などについて教えてください

    ハタ揚げは、貿易で来日したオランダ人の従者であったインドネシア人が伝えたとされています。 江戸時代に長崎へ入ってきた外国人の遊びや、お花見遊山の際に商家が遊んでいたそうです。ハタは、ガラスを糊で麻紐にくっつけたヨマ(糸)に、長崎出島の独特な模様や色使いで作られた紙をつけたものです。相手のハタと空中で争いながら遊びます。風頭山や金比羅山、唐八景など、長崎市内の各所で行われる春の伝統行事です。

    四月十四日に行われる「十三参り」の由来や習わしなどを教えてください

    十三参り…四月十四日に、数え年十三歳に成長した子が、福徳と智恵と健康を授けていただくため、虚空蔵菩薩にお参りをする

    関東地方に多い行事で、数え年で十三歳になった子どもたちが知恵と福、徳を司る虚空蔵菩薩にお参りする儀式です。京都府の嵐山にある「虚空蔵法輪寺」での十三参りが有名です。お参りの際に半紙に筆で自分の好きな一文字を書いて奉納すると、知恵を授かると言われています。長崎では「清水寺」で十三参りが行われます。

    気温があたたかくになり、花々が咲き誇る春。暮らしに取り入れられる、花のしつらいを教えてください

    四月の花はやはり桜が一番です。蕾の桜の枝を窓辺に置いて育てましょう。あたたかくなれば蕾が膨らんで、室内でお花見ができます。花が枯れたら花の部分を摘み、そのままにしておいてください。今度はそこから新芽が吹き出し、桜の若葉が出てきます。お花見から若葉まで、季節の移ろいを充分に楽しむことができます。

    春は山菜採りが行われます。この時期おすすめの春の山菜や、山菜の食べ方を教えてください

    野原で摘んだつくしを食べてみませんか?穂先の固いものを選び、茎の周りについている袴をむしって、さっと塩ゆでにしてください。その後、油で軽く炒めて薄口醤油で味付けし、少量のゴマを振りかけると、美味しくいただけます。またバターで軽く炒めて、塩胡椒で味付けし、塩ゆでした菜の花と共に、パスタに絡めていただくのもおすすめです。

    春から夏にかけて潮干狩りの季節になりますが、アサリを美味しくいただける料理のレシピを教えてください

    フライパンを熱々に熱し、その中にアサリを入れてお酒をふりかけ、蓋をしてしばらく待ちます。殻が開いたら、アサリの酒蒸しの出来上がりです。アサリから適度な塩気が出るので、お酒だけで充分です。日本酒にするならネギの小口切りを、白ワインにするならパセリのみじん切りを合わせてみてください。
    食材の歳時記 ウド

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