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【長崎県美術館】名作を生で体感!生誕100年 山下清展-百年目の大回想

 

放浪の天才画家・山下清生誕100年を記念した大回顧展

山下清 生誕100年を機に開催されている回顧展は、絵作品はもちろん愛蔵品や関連資料の191点とともに、山下の歩みを時系列でたどる大ボリュームの展覧会です。
全5章構成で、ひとりの画家の誕生から晩年まで、創作の全貌に迫ります。

 

第1章|誕生—昆虫、そして絵との出合い

浅草に生まれた山下は、大病の後遺症を抱えながらも、虫捕りと絵を心の支えに成長しました。
養護施設「八幡学園」で出合った“ちぎり絵(貼絵)”が、山下の運命を大きく動かします。

 

 

こちらの章では、今回の展覧会にあわせて初公開となる若き日の鉛筆画を展示されており、“画家・山下清”が誕生する前の、みずみずしい感性がまっすぐに伝わってきます。

 

さらに、初期の貼絵も紹介。
のちに代表的技法となる貼絵が、どのように発展していくのか—その“芽”を感じることができる章となっています。

 

≪蜂2≫ 制作年不詳 ペン画
≪蜂2≫ 制作年不詳 ペン画

 

第2章|学園生活と放浪への旅立ち

学園で貼絵の技術を磨き、独自の表現を確立していった山下。
しかし1940年、18歳の山下は突如として学園を去ります。
外の世界を見てみたいという思い、そして戦争による徴兵への不安。
それが、のちに“放浪画家”と呼ばれる山下の原点となりました。

 

≪ともだち≫ 1938年 貼絵
≪ともだち≫ 1938年 貼絵

 

学園時代と放浪後の作品を見比べると、色紙のチップの細かさや貼り重ねの密度に変化が現れています。
たとえば《友達》では古い切手を活用。物資が限られた時代背景の中、素材の風合いを生かしながら独自の世界観を築いていきました。

 

展示では、作品とともに山下が残した言葉も紹介。
山下がどんな眼差しで風景や人々を見つめていたのかが伝わってきます。

 

放浪中に使用したリュックサック 身に着けていた認識票
放浪中に使用したリュックサック 身に着けていた認識票

 

放浪中に着用した浴衣
放浪中に着用した浴衣

 

さらに、放浪中に身につけていた浴衣やリュックサックも展示。
私たちが思い浮かべる“白いタンクトップ姿”は、実は後年に作られたイメージで、実際は、夏は浴衣、冬は着物姿だったという事実も興味深いポイントです。

 

そして驚くべきは、放浪中には絵の道具を持ち歩いていなかったこと。
旅先で描いたのではなく、ときおり家や学園の本拠地に戻り、記憶をもとに制作されていたのです。
目に焼き付けた風景を細部まで再現する——その圧倒的な記憶力に驚かされます。

 

≪桜島≫ 制作年不詳 染絵
≪桜島≫ 制作年不詳 染絵

 

≪長岡の花火≫ 1950年 貼絵
≪長岡の花火≫ 1950年 貼絵

 

この時期に生まれた名作《桜島》、《長岡の花火》。
《長岡の花火》では、群衆は細かくちぎった色紙で、花火の線は細くねじった“こより”で表現。
初期の大きな面的表現の貼絵から、より緻密でリアリティある絵へと、15年の技術の進歩が感じられます。

 

第3章|画家・山下清のはじまり

1956年、「東京の大丸」(現:大丸松坂屋百貨店)で初の大規模展が開催され、26日間で約80万人が来場し、日本中が“山下清ブーム”に沸きました。

 

≪自分の顔≫ 1950年 貼絵
≪自分の顔≫ 1950年 貼絵

 

この頃の山下は、ゴッホを参考にした人物画、油性マジックペンによるペン画や油彩など、さまざまな技法に挑戦。
もはや“素朴な放浪画家”というイメージだけでは語れない、山下自身が強い自覚をもって“画家”として歩んでいたことが伝わります。

 

≪長崎の風景≫ 1963年 貼絵 十八親和銀行蔵

 

そして本展覧会の見どころとなるのが、株式会社十八親和銀行が所蔵する作品《長崎の風景》《長崎の景色》。
長崎会場限定の本展覧会特別出品として展示されていました。

円熟期を代表する大作となり、大画面いっぱいに細かく再現された長崎の街並みに、思わず足が止まりました。
さらに《グラバー邸》《お蝶夫人屋敷》とあわせて鑑賞することで、長崎という土地を通して広がる山下芸術の展開を味わえます。

 

第4章|ヨーロッパで見た風景

1961年、支援者・式場隆三郎の後押しで、山下は初の海外旅行へ。
約40日間で12カ国を巡り、20点以上のスケッチを制作しました。

 

≪ロンドンのタワーブリッジ≫ 1965年 貼絵
≪ロンドンのタワーブリッジ≫ 1965年 貼絵

 

帰国後、それらは貼絵やペン画、水彩へと発展。
遠近感ある構図や、きわめて細密な色彩表現からは、山下の技術の到達点がうかがえます。

 

1960年代に入り、視力や体調の変化もあり細密な貼絵制作が難しくなると、ペン画に水彩を重ねるなど技法を融合。
さらにサインまでも貼絵で制作するなど、画家としての強い意識がにじみ出ています。

 

第5章|円熟期、そして「東海道五十三次」

各地での個展開催にあわせて窯を訪れ、陶磁器の絵付けも手がけた山下。
のびやかな造形と色彩は、貼絵とは異なる魅力を放ちますが、そこにも山下らしい自由な精神が感じられます。

 

 

 

晩年の大きなテーマとなったのが「東海道五十三次」シリーズ。
1965年から約4年をかけて取材を重ね、55点のペン画を完成させました。
本展では、その版画作品も紹介され、最晩年の創作にせまります。

 

貼絵として完成させる構想を抱きながらも、1971年に逝去。
それでも山下は最期まで筆を握り続けました。

 

余韻をそのまま、おうちへ

 

 

最後に立ち寄りたいのが、会場内の特設ショップ。

ショップでは、本展関連商品を販売。
「生誕100年 山下清展―百年目の大回想―」の図録をはじめ、関連書籍、ポストカードやTシャツ、てぬぐい、缶マグネットなど、バリエーション豊かなオリジナルグッズが揃います。

 

展示をじっくり味わったあとは、ぜひショップにも立ち寄ってみてください。
“お気に入りの一枚”や“思い出のひと品”が見つかるかも。

 

最後に

素朴で無邪気な放浪画家——
そんなイメージの奥にあったのは、技術を磨き続けた“徹底した画家”としての姿でした。

数多くの作品と資料を通して見えてくるのは、努力と探究を重ねたひとりの表現者の人生です。

 

ぜひあなたも、その目で“画家・山下清”を体感してみてはいかが。

 

 

展覧会開催を記念して、抽選で6名様に招待券をプレゼント!

ぜひこの機会に、会場で作品の魅力をご体感ください。

【応募方法】記事下部の応募フォームより、氏名、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、参加人数を入力の上、ご応募ください。
■締切:2026年3月8日(日)まで

 

応募はコチラから→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSel_DSJRahK1A9BGuabMwNX_5NL7X0kJLF1_Go21Og79r225g/viewform?usp=preview

 

※誠に恐れ入りますが、当選者はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。

 

 

 

イベント名

生誕100年 山下清展-百年目の大回想

日時

【会期】2026年2月14日(土)~4月5日(日)
【開館時間】10:00~20:00(最終入場は19:30)
【休館日】2月24日(火)、3月9日(月)※3月23日(月)は臨時開館

料金

【観覧料】一般1,500(1,300)円、中高生1,000(800)円、小学生以下無料
※()内は15名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、障害福祉サービス受給者証、
地域相談支援受給者証、特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)医療受給者
証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者および介護者1名は5割減額
※会期中に限り本展観覧券でコレクション展にも入場できます。

備考

主催:長崎県美術館、KTNテレビ長崎
協賛:株式会社十八親和銀行、株式会社西海建設
後援:長崎県、長崎市、長崎県教育委員会、長崎市教育委員会、長崎新聞社、西日本新聞社、毎日新聞社、読売新聞西部本社、長崎ケーブルメディア、エフエム長崎
協力:山下清作品管理事務所
企画協力:ステップ・イースト

場所

長崎県美術館 企画展示室

 

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