6月27日、映画『夏の砂の上』の公開を記念し、主演のオダギリジョーさんと玉田真也監督が長崎での舞台挨拶に登壇しました。
ながさきプレス7月号では、映画『夏の砂の上』のロケ地巡りを掲載しています。ぜひ、鑑賞前の楽しみや、鑑賞後の聖地巡礼として楽しんでみてください。
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開幕から会場を沸かせた登壇者コメント
舞台挨拶冒頭、オダギリジョーさんは「ようこそおいでいただきました。ようやく夕方ぐらいから、頭が動き出しまして、キレキレのコメントが出始めると思うんで、ぜひこの舞台挨拶に期待してください。よろしくお願いします」とユーモラスに挨拶し、会場を和ませました。
続いて、玉田真也監督は「監督の玉田です。今日はこんな暑い中、劇場まで観に来ていただき、本当にありがとうございます。長崎で去年撮った映画で、僕もすごく自信を持っている映画ですので、皆さんに観ていただいて気に入っていただければ、うれしいなと思います。今日はよろしくお願いします」と、長崎での公開の喜び、作品の自信を語りました。
上海国際映画祭での快挙!審査員特別賞受賞の喜び
司会者から、玉田監督が手に持つトロフィーについて触れられると、それが第27回上海国際映画祭でグランプリに次ぐ審査員特別賞を受賞したトロフィーだと明かされました。長崎県と上海が友好姉妹都市であることから、長崎を舞台にした本作の受賞はまさに「凱旋上映」となりました。
受賞の喜びについて玉田監督は「めちゃくちゃ嬉しいです。この審査員特別賞っていうのは個々人に与えられる監督賞や俳優賞のような賞というよりも、作品に対しての賞なので、この映画のチーム全体で取った賞だと言えると思うので、本当にうれしいです」と、チーム全体で掴んだ賞であることを強調しました。
オダギリジョーの斬新ファッションが上海で大絶賛!?
映画祭でのエピソードとして、オダギリジョーさんが着用していたデニムジャケットに下駄という斬新なファッションが、上海の現地で「かっこいい」と大人気だったことが紹介されると、オダギリジョーさんは「ええ?そうなんですか?」「初耳です」と驚きを隠せない様子でした。
改めて受賞を振り返り、オダギリジョーさんは「最初に脚本を読んだ時に、これは世界に勝負できる作品になるなという気がしたので、生意気ながらもプロデューサーとしても名乗りを上げさせてもらいました。監督と2人で少しでもいい作品になるように後作業などを詰めて頑張ったんですけど、その頑張りを認めてもらった思いになりました。やっぱり、あそこで頑張ったからこそ世界に出せたんだなぁという、ご褒美をいただいたような気になりました」と、作品への並々ならぬ情熱と受賞の喜びを語りました。
原作戯曲への深い敬意と長崎を舞台にした理由
玉田監督は、本作の原作である長崎出身の松田正隆さんの戯曲について、「この戯曲はもう10年以上前に、大学生の頃に初めて読みました。本当に面白くて。それ以降、僕自身も本を書くので、その時のお手本であり続けたものです」と、長年の思い入れを明かしました。
映画化のきっかけについては、「3年ほど前に上演した舞台で、演出プランを練ってる時に、もともとの戯曲にある余白や、描かれていない部分を想像する。要はその描かれていない時間や、その後ろにある物語を想像することをしないと、なんでこんなことをセリフを言うんだろう?このような感情になるんだろうってことは、分かってこないので、それをずっと想像していました」と語り、戯曲の持つ余白に長崎の風景やイメージが深く結びついていると感じたそうです。
そして、「長崎の町は、すごく特殊で日本の他の都市にはない魅力を持った地形や町の雰囲気があります。これをそのまま武器として、あの映画に生かしていけば、すごく面白い映画になるんじゃないかなと直感しました」と、オール長崎ロケを決めた理由を熱く語りました。
猛暑の長崎ロケ!過酷な撮影を乗り越えて
昨年9月に行われたオール長崎ロケについて、その過酷さが語られました。
オダギリジョーさんは「本当に暑かったです。これから観ていただくのに、あまり余計な情報を渡したくないですけど。治(オダギリジョーさんが演じた主人公)が住んでいる家は稲佐山の方で。山の中腹にある家に、毎日リアルにキャストやスタッフ全員が歩いて登っていました。もうそこに行くだけでも、汗が止まらないような状況で、そこから仕事をスタートする、そういう毎日でした。本当に去年は長崎の夏の暑さを痛感しましたね」と、撮影現場を振り返りました。
玉田監督も「やっぱり技術スタッフたちが、ただでさえ重い撮影機材を階段を降りて、また上って、また降りて上ってって、撮影場所まで届けて。また、撤収の時は、それを同じように戻すっていうことをしてたんで。大変だったと思います」と、スタッフの労をねぎらいました。
長崎の味も堪能!美味しい思い出
撮影中の長崎の思い出として、美味しいものについても触れられました。
玉田監督は「ちゃんぽんは、しょっちゅう食べていましたし、有名な1口餃子もおいしかったです」と語り、長崎の食も満喫した様子でした。
長崎市長も駆けつけ花束贈呈!
舞台挨拶終盤には、鈴木史朗長崎市長が駆けつけ、映画の完成と上海国際映画祭での受賞を祝福。お二人への花束贈呈が行われました。
市長は玉田監督からトロフィーを渡され「ずっしり重いです。あの上海国際映画祭の重みを感じます。素晴らしいです。おめでとうございます」と喜びを分かち合いました。
鈴木市長は挨拶で「映画『夏の砂の上』の完成、そして上海国際映画祭での審査員特別賞のご受賞、誠におめでとうございます。映画の苦労話もいろいろお聞きしましたけれども、随所に長崎の魅力が詰まっていて、すごく期待が高まってます」と語り、長崎の魅力が詰まった作品への期待を述べました。そして、「私も今日、観たかったのですが、この後仕事が入ったので、皆さんぜひこの後、作品をご堪能いただければと思います。市役所の職員も見ますけれども、私の前でネタバレしないようにお願いします。私は公開されてから、劇場でしっかり堪能させていただきたいと思います」と会場を笑わせました。
市長の言葉を受け、オダギリジョーさんは「感無量です」と、感謝の気持ちを表しました。
監督・主演が語る『夏の砂の上』の魅力
フォトセッション後、最後に登壇者からメッセージが贈られました。
玉田監督は「この映画は構想した当初から映画化するときには、長崎の町自体を主人公と捉えて撮影していこうと決めていました。なので、こうして長崎の町で長崎の皆さんに観ていただけるのは、すごく嬉しいです。少しでも楽しんでいっていただけたら、うれしいです。よろしくお願いします」と、長崎の地で観てもらえる喜びを伝えました。
そして、オダギリジョーさんは、作品の音響へのこだわりについて、耳寄りなヒントを披露しました。
「最後にちょっと1つ耳寄りなヒントを話させてもらいますと、僕も仕上げの作業や編集、音作りに強く関わりました。例えば、音に関して少し話させてもらうと、この作品は4カ所しか音楽をつけていません。最近のエンタメ作品では音楽がずっと鳴ってるんですよ。ほぼ全てのシーンに音楽を流すぐらい。そうやって、盛り上げていくのが、よくあるエンタメの流れなんですけど、この作品は4カ所ですね。それって見る方々の、想像力に任せられているし、無理やり感情を引っ張られるということをやらないようにした作りなんですよ。まず、そこが観客の皆様に、真摯に向き合う監督の姿勢だと思っていただけると思います」と、音楽を最小限に抑えることで、観客の想像力を掻き立てる狙いを明かしました。
さらに、「余計な音楽をつけないことによって、生活音を逆に忍ばせてます。例えば、セミの鳴き声や猫の鳴き声だったり、治が働いていたであろう工場の音が遠くの方で響いてたり、そういう生活音があるべき音楽の代わりを作り出している。そういうところもじっくりと聞いていただければと思います。そういう作り方をするからこそ、逆に映像が際立ってくるんですね。映像の方に意識がいくからこそ、この風景、長崎の街が観ている方々にしっかりと届くはずなんですよ。特に長崎の皆さん、見慣れた景色だと思うので、しっかりその辺りを感じていただけるんじゃないかと思います」と、こだわり抜いた音響が長崎の風景をより際立たせていることを熱弁しました。
「これ結構いい話したと思うので、最後にあのキレキレなコメントができてよかったと思って。(笑)まあ、そんなことは一切忘れて、楽しんでみていただければと思います。ぜひ、お友達やご家族の方々やいろんな人に広めて、来週以降にもたくさんの人に見ていただけるような映画に、皆さんに育ててもらえたらと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました」と締めくくり、大きな拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じました。
ぜひ、映画『夏の砂の上』を劇場でご覧いただき、長崎の美しい風景と、こだわり抜かれた音響の世界、作品の物語性、全てを体感してください。
鑑賞後は「#夏の砂の上を話そう」で感想を共有しましょう!
映画「夏の砂の上」
【監督・脚本】玉田真也
【出演】オダギリジョー、髙石あかり、松たか子、森山直太朗、高橋文哉、満島ひかり、光石研ほか
TOHOシネマズ長崎、ユナイテッドシネマ長崎、シネマボックス太陽にて公開中
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