寛永11年(1634年)から続く、長崎の秋季大祭『長崎くんち』2023

コロナ禍などのさまざまな苦難を乗り越えて、4年ぶりに開催される長崎くんち。7年ごとに当番町はめぐるので、今回奉納する踊町は実に10年ぶりに。踊り町の関係者も、おくんち好きの長崎市民もとっても待ちわびていた、そんなエネルギーが開催3日間にぶつけられること、間違いなしです。おくんちを楽しみながら、長崎を盛り上げていきましょう!

長崎くんちについて

 長崎くんちは、長崎の氏神さま・諏訪神社の祭礼行事(例大祭)。豪華絢爛な奉納踊りで全国的にも有名で、長崎人の心に大きな存在感を放ちつづける、長崎最大の行事のひとつです。毎年10月7日から9日までの3日間に行われており、7日に御神輿がお旅所(大波止)に移られる「お下り」、9日に諏訪神社に戻られる「お上り」などの御神事を中心行事として、神社やお旅所などで奉納踊りが奉納・披露されます。「くんち」の語源は「宮日」「供日」とも言われるが、陰暦9月9日の「重陽の節句」に行われたことから「九日(くにち)」からという説も。

 寛永11年(1634年)に、2人の遊女、高尾と音羽が、諏訪神社神前に謡曲「小舞」を奉納したことが、長崎くんちのはじまりだと言わています。

 現在、演し物を奉納する踊り町は、全部で58ヵ町。それが7つの組に区分され、一年ごとに順繰りにめぐっていきます。つまり奉納踊りを出す当番は、7年に一度回ってくるのです。演し物は龍踊りや鯨の潮吹き、コッコデショなど、町によってさまざま。これらの奉納踊は国指定重要無形民俗文化財にもなっています。

今年の踊り町と奉納踊り

桶屋町[おけやまち]
傘鉾・本踊り

栄町[さかえまち]
傘鉾・阿蘭陀万歳

万屋町[よろずやまち]
傘鉾・鯨の潮吹き

本石灰町[もとしっくいまち]
傘鉾・御朱印船

船大工町[ふなだいくまち]
傘鉾・川船

丸山町[まるやままち]
傘鉾・本踊り

長崎くんち 専門用語辞典

庭見世 [にわみせ]

 10月3日。夕刻から各踊町の家々では表格子をはずし、床飾り、生け花などをしつらえ、木戸口を開放するなどして、家の中や庭園を道行く人に見せる。表通りに面した家々には傘鉾をはじめ演し物の曳物・衣裳・小道具・楽器などを分散して飾り、出演者に贈られたお祝品を並べ披露する。

傘鉾[かさぼこ]

 傘鉾は、踊町の「象徴」であり「町印」。奉納踊りの行列の先頭に立ち、町内の何人たりとも、その前に立つことは許されない神聖なもの。「傘鉾に町の歴史を教えられ」とも言われる傘鉾は、町の象徴であり、神事や町の由来、奉納踊りに因む装飾を「だし」や「たれ」に盛り込み「わが町はこのような歴史があり、このような踊りを奉納いたします」といったことを表現する。

踊町(年番町)[おどりちょう(ねんばんちょう)]

 奉納踊りを出す当番の町は7年に1度回ってくる。現在は59町を7つの組に分けている。各踊町は、町の神聖な象徴としての傘鉾と、それぞれに創意工夫を凝らした演し物を神前に奉納する。また、奉納から4年目に年番町を務める。年番町は、氏子として、その年の諏訪神社の神事祭礼へ参列や奉仕(お世話)等を担い、「お下り」「お上り」の行列への参加や御旅所での奉仕、踊町の世話など、重要な役割を果たす。

人数揃い[にいぞろい]

 10月4日。演し物の練習が立派に仕上がったので、くんち当日の本番前にその町内数ヶ所でこれをご披露するという趣旨のもの。この日はじめて本番と同じ衣裳で、本番通りの奉納踊りを披露する。「庭見せ」が対外的行事なのに対して、人数揃いは町内の人に仕上がりを披露する町内行事。各踊町で、4日の昼すぎから行われる。

お下り・お上り[おくだり・おのぼり]

 10月7日13時から、諏訪神社の神様が大波止のお旅所に出かけられることを「お下り」、9日13時から諏訪神社へ神様がお戻りになる事を「お上り」と言う。三体の御神輿とお供の行列。お供には、年番町の子供達が参加する。御神輿を担ぐ(守る→もる)のは旧長崎郷の人たちで、6年に1度当番が回ってくる。お上りでは、諏訪神社下の馬町から神社まで3体の神輿が約200段の石段を一気に駆け上がる「守り込み」が見どころ。

お旅所[おたびしょ]

 くんち期間中、3体の御神輿が鎮座する仮宮。元船町の大波止に設けられ人々が参拝に訪れる。

長崎くんちを見るには?

 長崎くんちは、先述した通り諏訪神社の例大祭。つまり諏訪神社で見るのが一番です。踊馬場での奉納を生で見るには、毎年席の争奪戦を勝ち抜いた人たちのみ。毎年テレビでの中継もあるので、そちらでチェックしておくのも◎。そのほか、諏訪神社から三基の御神輿が「お下り」し鎮座するための仮宮である「お旅所」、中心市街地の近くに位置する「中央公園くんち観覧場」、寺町通りの奥に位置する「八坂神社」でも見ることができますが、いずれも有料。各踊町は市内中心部をまわり、短くまとめられた踊りやお囃子をお店や民家などの前、路上で披露していく「庭先回り」も行っています。こちらは出会うことができれば無料で見ることができるので、ぜひ探してみて。

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