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  • 五島列島の平干し大根を知っていますか?(上五島)

    上五島の郷土料理「お煮しめ」
    上五島の郷土料理「お煮しめ」

     

     平干し大根とは、大根の皮をむき縦に同じ幅で薄切りし、生干ししたもの(平切干し大根とも言う)。西海の切り干し大根は有名ですが、平干し大根はまだまだ知られていません。わが町では昔から「お煮しめ」にして食べられています。お祝いの席、仏事のたび、もちろん普段の食卓にも。
     お煮しめと言えば一品ずつ煮詰めるのが主流ですが、上五島では材料を油(昔は椿油)で炒め、順番に重ねてだしを入れて煮る「重ね煮」です。もちろん平干し大根が一番下。おだしは特産のあごを使い、私の住む青方地区では、平干し大根から甘味が出るからと砂糖も少なめ。あごだしと野菜の旨みを活かして味をつけるんですよ。大鍋いっぱいに作るのも特徴。出来上がったお煮しめは、とってもヘルシー!観光客の方にも好評です。
     このお煮しめ、四季も楽しめます。春はつわぶき、夏はずいき(水イモのくき)、秋には新ジャガイモ、冬には里イモと、材料が少しずつ変化し、味も変わります。各家庭の味もあります。
     高齢化に伴い、平干し大根の作り手が少しずつ減ってきています。幻にならないように地域で協力しながら、この大根とお煮しめを残していきたいなと思っています。一緒にお煮しめづくり、いかがですか?歓迎いたします。

     

    profile

    道津 和子 初めて訪れてもどこか懐かしさを感じさせる、アットホームなもてなしの〈前田旅館〉の女将。おしゃべり好きで、上五島のディープな魅力を教えてくれる。旅館では海の幸・山の幸をふんだんに使った料理だけではなく、上五島ならではの郷土料理も味わえる。

     

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