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  • 山城トレッキング(対馬)

    激動の戦国期・清水山城を歩く
    激動の戦国期・清水山城を歩く

     戦国の歴史と、トレッキング(軽登山)の爽快感が味わえる「山城トレッキング」が人気を集めている。城というと天守閣や高石垣をイメージしがちだが、日本の城の99%は険しい山の地形を利用した実戦的な山城で、その数は3万とも4万とも言われている。
     国境の島・対馬には、戦国末期の文禄・慶長の役に際し、厳原港近くに清水山城が築かれた。15万人ともいわれる豊臣秀吉の大軍団が対馬を経由して朝鮮半島に侵攻したが、清水山城からは、その軍船がすべて見渡せたことだろう。
     それから400年の時が流れ、現在の厳原港は、年間約11万人の国内利用者(島民含む)と8万人の韓国人観光客が入港(出港)する国際港として賑わっている。港から徒歩15分ほどの〈観光情報館ふれあい処つしま〉で地図や情報を入手し、住宅地の坂道と山道をさらに20分ほど登ると、清水山城の石垣が現れ、三の丸に着く。城下町の街並みや厳原港を一望でき、空気が澄めば水平線上に壱岐が浮かぶ。春には若葉が美しく、ゲンカイツツジなどが開花する。山頂(本丸)まで20分ほどの急な山道だが、三の丸だけでも十分に楽しめる。
     厳原港から徒歩でアクセスでき、国境の島・対馬の自然・歴史・景観をコンパクトに楽しめる山城トレッキングを、ぜひ楽しんでほしい。

    profile
    西 護 対馬観光物産協会に勤務して、今年で11年目。国境の島・対馬に、家族や犬、猫と共に暮らしている。趣味は、対馬の山岳・砲台・神社などの情報を収集・発信すること。今年発行された「長崎県の山(山と渓谷社)」で、対馬の山を担当している。

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