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  • 島生まれのあったかいおふくろの味(五島)

    長崎 五島 〈地のもん工房 増栄丸〉の惣菜
    〈地のもん工房 増栄丸〉の惣菜

     五島列島を構成する島の一つ「椛島」。福江港から定期船や海上タクシーで30分あまり。周囲約27キロメートルで、五島列島のほぼ真ん中に位置している。人口は130人ほどと少なく、主な産業は近海での漁業である。

     この島の一角に、自分たちの力で〝惣菜店〟をつくり出した元気な女性たちがいる。民宿〈増栄丸〉の女将さんとその仲間たちだ。〈地のもん工房 増栄丸〉は、長崎県産の新鮮な魚を使って、惣菜をつくっている小さな工房。従業員の平均年齢は70歳を超えている。主に魚を捌く作業を担当している政枝さんは、なんと御年92歳。

     もともとは、民宿で出していた魚料理を、お客さんの要望に応えて持ち帰りできるようにしたのが工房のはじまり。朝、水揚げされたばかりのアジやサバ、キビナゴをその日のうちに昆布巻きや煮付け、南蛮漬けなどに調理して、翌日には真空パック。まさに鮮度抜群の惣菜だ。その美味しさは島に留まらず、九州各地の物産展を回ったり、ときには東京にも足を運んで手製の惣菜を販売し、魅力をPR。帰ってくるとまた惣菜づくりに精を出す。近年は、インターネットでの注文も受けているので、ぜひ一度自慢の味を食べてみて。

    profile
    矢口 美保子 五島市在住。趣味は、茶道と読書。「軽自動車のマニュアル車に乗っています」と言うと、ほとんどの人が驚くという。高校時代の剣道仲間からの突然の電話により、島のコラムを書くことに。これには、本人が一番驚いているのだとか。

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