ながさきプレスWEBマガジン

  • 病院を受診したら、下肢静脈瘤の疑いがあると言われました。下肢静脈瘤ってどんな病気なんですか?

    今月のお悩みは…
    病院を受診したら、下肢静脈瘤の疑いがあると言われました。下肢静脈瘤ってどんな病気なんですか?

    <回答者>
    長崎血管外科クリニック 多田 誠一先生

    長崎大学医学部卒業。日本外科学会認定外科専門医として長崎大学病院などにて心臓や大血管、末梢動脈・静脈手術に従事。2008年からは下肢静脈瘤治療に従事する。2015年7月に〈長崎血管外科クリニック〉を開院した。

     

    まずは下肢静脈瘤の概要について教えてください。

    足の静脈は、足の先まできた血液を心臓に返す血管です。だから全部上向きに流れているんですけど、それが逆流しないように弁がいくつもついているんです。ですが、足に負担がかかると弁が緩んで、血液が下向きに逆流し、血管が浮き出たりポコッと膨れたりするんですね。これが下肢静脈瘤です。症状としてはだるさやむくみ、足がつったりかゆくなったり、悪化すると皮膚が硬くなる場合もあるので要注意です。細い血管と太い血管では発症した際の見た目も症状の程度も異なります。

     

    発生してしまう原因や、何か予防する方法はあるのでしょうか?

    長い時間同じ場所に立って仕事をしている方は要注意です。足の筋肉が動くと静脈は自然と血液を押し上げてくれるようになっています。ですが、ずっと同じ姿勢でいることで、足にどんどん血液が溜まってしまい下肢静脈瘤の原因となります。またホルモンの影響で、男性よりも女性の方がなりやすい傾向があります。
    予防として、一番いいのは「つま先立ち運動」です。椅子に座ってつま先とかかとを交互に上げることで、足の血管を動かしてうっ血を予防し、むくみを改善することができます。また立ちっぱなしにならず適度な休憩も必要です。その際に足を少し上げるだけでも効果がありますよ。

     

    下肢静脈瘤の治療にはどのような方法があるのでしょうか?

    簡単な対症療法は、弾性ストッキングを履くことです。だるさや足の疲れは軽減できますし、予防にも効果があります。ただ、この方法では根本的な治療にはなりません。小さい血管の場合は、注射をしてその部分の血管を固める方法があります。大きい血管を治療する場合は、血管内のレーザー治療などを行います。レーザー治療は体への負担が軽く、眠っている間に30分程度で終わり、そのまま歩いて帰ることができ、翌日から入浴も可能です。保険適用もされているので、今は治療方法としては主流となっています。

     

    症状があったら必ず手術が必要なのでしょうか?

    下肢静脈瘤=手術ではありません。最初にエコーで検査をして、どこに逆流があるのか判断します。どんな静脈瘤のタイプなのか、その程度によって今後の治療方針を決めていきます。症状があっても弾性ストッキングなどで対策するだけの方もいますし、症状がなくても見た目をきれいにしたいという理由で手術や注射をされる方もいますよ。どの部分にどんな症状が起こるのかは人それぞれなので、まず患者さんときちんと話し合って治療方針を決めます。ただ一度発症すると自然治癒は難しく、またほかの病気などが原因に結びついている場合もあるので、気になった方はまずご相談ください。

     

     

    まとめ
    ・足に負担がかかることで、下肢静脈瘤の原因となる
    ・適度な休憩と「つま先立ち運動」で予防することができる
    ・レーザーなどの血管内治療が主流だが、治療方法は相談しながら検討

     

    多田先生からのワンポイントアドバイス

    妊娠出産を繰り返すほど、年齢を重ねるほど下肢静脈瘤の発症率が高くなりますが、遺伝的な要因で発症することもあります。矯正下着やガードルなどを使用している女性も要注意です。あまり締めつけず、足に負担をかけ過ぎないようにしましょう。

     

     

    Return Top