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  • 朝鮮通信使、ユネスコ「世界の記憶」に登録

    平和の記憶を未来へ受け継ぐ
    平和の記憶を未来へ受け継ぐ

     昨年10月に朝鮮通信使に関する記録が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録された。朝鮮通信使といってもなじみが薄いので、少し歴史をさかのぼってみよう。
     鎖国が命じられた江戸時代、長崎とオランダ、薩摩と琉球、松前と蝦夷、対馬と朝鮮の4ヵ所で交易の扉が開かれていた。特に対馬と朝鮮は、国家間の外交が正式に認められていた点で他とは一線を画しており、はじまりは文禄慶長の役(豊臣秀吉の朝鮮出兵)だった。
    二度の出兵で日朝関係は最悪の局面を迎えるが、北方の女真族の脅威にさらされる朝鮮、新たな天下人となった徳川家康、貿易を復活させたい対馬宗氏の思惑が重なり、両国の国書交換を使命とする朝鮮通信使の派遣が決定される。対馬藩を仲介として通信使が往来した200年間は、国境を接する国同士が戦争をしないという世界的にも珍しい平和な時代だった。
     「世界の記憶」登録を記念し、2/24(土)の夜に、朝鮮出兵時代の対馬を題材にした舞台「対馬物語」(脚本・ジェームス三木)が、市民劇団によって上演。翌25(日)の午後には通信使行列が再現される。また、講演会やフィールドワークも計画されているので、この機会にぜひ体験・参加してほしい。

    profile
    西 護 対馬観光物産協会に勤務して、今年で11年目。国境の島・対馬に、家族や犬、猫と共に暮らしている。趣味は、対馬の山岳・砲台・神社などの情報を収集・発信すること。今年発行された「長崎県の山(山と渓谷社)」で、対馬の山を担当している。

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