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  • アキマドボタル(対馬)

    国境の島に生息する秋のホタル
    国境の島に生息する秋のホタル

     

    国境の島・対馬には、氷河期の残存種とされるさまざまな大陸系の生物が生息している。その代表はツシマヤマネコだが、そのほかにも外見は派手だが無毒のヘビ・アカマダラや日本のクワガタ類で最長種のツシマヒラタクワガタなど、個性的な生物が多く見られる。その反面、キツネやタヌキ、ウサギ、リス、サルなどは一匹も生息していない。

     

    奇妙な生態系をもつこの島では、秋にもホタルが舞う。アキマドボタルは、日本では対馬にのみ生息し、6月に見られるゲンジボタルとは異なり、渓流よりも畑や水田などの開放的な環境を好む陸生のホタルだ。9月下旬から10月中旬にかけて、風に揺れる稲穂や真っ赤なヒガンバナの上を舞う様子は幻想的だ。

     

    昨年秋には、従来想定されていた生息環境とは異なる、対馬南端の景勝地・豆酘崎で多くのアキマドボタルが舞っているのが発見された。東シナ海に突き出した岬をめぐる遊歩道から、大海原を照らす漁火と一緒にホタルを観察できるのは、日本の中でも対馬だけだろう。

     

    日本系と大陸系の動植物が共生し、生物分布の面においても対馬はまさに国境の島なのだ。

     

    profile
    西 護

    対馬観光物産協会に勤務して、今年で11年目。国境の島・対馬に、家族や犬、猫と共に暮らしている。趣味は、対馬の山岳・砲台・神社などの情報を収集・発信すること。今年発行された「長崎県の山(山と渓谷社)」で、対馬の山を担当している。
    写真提供: 境 良朗

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