ながさきプレスWEBマガジン

  • 第1回 長崎市 神ノ島教会

     造船所の迫力あるドックや、女神大橋を眺めながら、長崎港の海沿いを走り続けると、ふいに小高い丘の上からちょこんと白い十字架がのぞく。青い空によく映える、真っ白な教会。〈神ノ島教会〉だ。

     その昔、埋め立て工事で陸続きになるまでは小さな離島だった神ノ島。江戸時代、禁教令によってキリスト教は迫害・弾圧を受け続けたが、その厳しい弾圧にも負けず、密かにキリスト教を信仰した「隠れキリシタン」たちが潜伏していた場所でもあった。幕末、鎖国時代が終わりをつげると、フランスから赴任した司祭らが、外国人のための教会として〈大浦天主堂〉を建設。そこへ、弾圧により途絶えたと思われていた隠れキリシタンたちが名乗りをあげ、各地で次々と信徒が発見された。神ノ島でも西忠吉・政吉兄弟が信仰の復活を願って命懸けで船を漕ぎ、神父を連れて布教活動を行なったという。その後禁教令が解かれ、1897年デュラン神父により現在の〈神ノ島教会〉が作られ、〈大浦天主堂〉の次に歴史のある教会として、現在も500人程の信徒が日々祈りを捧げる。ミサの夜、丘の上の教会にはあたたかい光が灯り、静かな浜辺の空にステンドグラスが美しく輝いている。

    ステンドグラスに魅せられて

    神ノ島教会のステンドグラスは、シンプルな幾何学の組み合わせ。教会内が色づいた光で満たされる様子が本当に美しい。目の前にある島「高鋒島」は、1600年代一般の領民であるキリシタンが初めて処刑された殉教の地でもあり、ステンドグラス越しに昔の悲しい歴史を思い起こさせる。

    浜辺のマリア様のこと。

    神ノ島はかつて佐賀藩の領地で、長崎ほどキリシタン弾圧は厳しくなかった。神ノ島の人々もおおらかで、教会のふもとの浜辺に佇む「岬のマリア像」はなんと神社と同じ場所に建てられいる。鳥居の向こうにマリア様がいる光景はちょっぴり不思議だが「航海の安全を願うためなら」と、宗教にとらわれなかった島の人々の様子が伝わるシンボリックな像だ。

    浜辺のマリア様のこと。

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